ここではないどこかで

仲のよい親友がいるのに、昔からの友達がいるのに僕はずっと心の中の何かが欠けたような状態でいる。こころが近いひとつ違いの兄貴もいるのに。

学生時代から患っている心の病気のために仕事することそのものを、今年の初めにあきらめてしまった。そのために恋人や伴侶を選ぶという選択肢は僕にはないのだ。養っていく力が何年もない自分は、自分自身を生きることでずっと精一杯な時期が続いている。

ずっと欠けている何か。それをずっと探して求めている。

10年前に首都圏から今住む地方都市に移り住んだ。生活はしたことがないけれど、自分が生まれ落ちた土地だ。幼い頃は、家族皆で帰省したので親しみのある土地だ。今は亡き祖父母も帰省ごとに僕たち家族を見守ってくれた。

生活にかかる費用が極めて少なくて済むので、母親の実家に母と共に移住したのだった。その母も今年の夏に約2年の闘病のあとに静かに亡くなった。僕は悔いなく母を全力で見送った。

仕事を辞める前は、自宅でパソコンで済む仕事をしていた。友達の紹介で知り合った依頼主が相手だった。そこから広げようと足掻いたが、結局広がらなかった。その代わり、何年も続けることができた。

今年一年はひとり暮らしになり、家事をこなし不器用ながら静かに過ごすごとができた。

秋頃に近くに住む叔母と些細なことで喧嘩してしまい一時期交流が途絶えてしまった。それでも年末には仲直りすることができた。

昨年の暮れからは、文章を書くことに気持ちを傾けることができた。自分は拙いながらも文章を書ける、そのことに気付いたのでそれが拠り所になった。

10年前に、ここではないどこかへ。そう思った願いは、叶えられた。相変わらず、心にある溝は埋まらないままだが、それは自分に限ったことではないのだと思う。

今年は2度飛行機で上京した。兄の家族に会い、古くからの親友や友達を訪ねて再会するためだった。それに加えて自分が文章を書くことによって出会えた、互いに読み合い書き合う仲間とも会うことが叶えられた。

一番の親友は、子供が成人して彼なりに家族の問題を抱えていた。再会した時は、いつも昔の話をする。何十年もの間の思い出を共有する仲だ。他のだれにも代わることができない親友とは、間が空いても会って話すことで心に力がチャージされる。

来年、最近ある目標ができた。そのことを考えるとすぐ先の未来が明るくなった。どんよりとした曇り空に陽が差したように自分を照らしてくれた。そう思えただけで、新年を迎える希望になった。

最終更新日 2025-12-28 by Sasao

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